仮面ライダー龍騎のトラウマ回、インペラーの悲惨過ぎる最期……

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平成ライダーの名作、『仮面ライダー龍騎』を見直してみたのですが……やはり一番印象深いのは44話、仮面ライダーインペラー死亡回ですね。

21歳の若い青年が涙を流しながら消え行くこの回、当時仮面ライダー龍騎を見ていた子供たちは、このインペラーの無残に散りゆくさまにどういう感情を抱いたのでしょうか……。

何も知らない人のため、今回は画像と共にそのシーンの説明と最後に考察を加え、振り返っていきたいと思います。

このインペラーの末路は、人によってかなり賛否が分かれているのでぜひあなたも考えてみてください。

仮面ライダー龍騎とは?

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この作品を一言で表すなら、『戦わなければ生き残れない』

キャッチフレーズが正にこれです。

自分の願いをかなえるために13人のライダー同士が互いに命を削りあう、そこに正義などというものは一切ありません。

最後に生き残ったもののみが、好きな願いをひとつだけ叶えられます。

ライダーお約束の勧善懲悪を真っ向から否定したその異色なストーリーは、当時の視聴者らはもちろん著名人に至るまで賛否両論を巻き起こしました。

 

『一体誰が正義で、何が正しいのか?』を真剣に考えさせられる正に今の時代背景にふさわしい作品といえます。

今回焦点を当てるのは、その13人の内の一人のライダーである『仮面ライダーインペラー』についてです。

仮面ライダーインペラーの変身者、佐野満(さの みつる)とは?

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21歳のどこにでもいる冴えない青年。

定職が無い無職のフリーターであり、アルバイトで生計を立てている一人暮らし。

本来は大会社の御曹司であったが、父親に勘当されてしまい上記のような慎ましやかな生活を送る。

お金持ちになりたい、なに不自由無い生活を夢見てぼそぼそと生活を送る人生の堕落者。

お金持ちに媚を売り、チップをもらうなどお金の亡者的一面もあるが、社交的で困っている人を捨て置けない優しい一面も持ち合わせている。

せっかくできた彼女にも振られ、お金持ちにもなれないまま無気力な日々を過ごしていたそんな彼の元に、突如ライダーベルト(カードデッキ)を持った男が現れる。

『ライダーになれば好きな願いを叶えることができる』という男の誘いに、佐野満はライダーバトルに参加することを決意。

願いはただひとつ、『お金、自分が欲しいもの……全てを手に入れるため、幸せになるため』に。

トラウマ回に至るまでの経緯

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佐野はまず自分を他のライダーたちに売り込むことを思いつく。

仲間を増やせば、自分が倒されるリスクを減らすことができるからだ。

そこでいったんは主人公側につくが、今度はお金によって手のひらを返し、相手側に。

しまいにはお世辞やおべっかを使い仲間を増やそうと奔走。

その蝙蝠のような行動と性格が災いしてか、誰にも相手にされなくなった頃、ひょんなことから偶然戦いで傷ついた一人のライダー、東條悟を保護する。

最初は利用できると下心で動いていた彼だが、東條と接することで本来の優しい心を見せ始め、本心から介抱を行うようになる。

二人の間にはいつしか友情が芽生えていた。

そんな毎日が続いたある日、突然佐野の携帯に父の会社から電話が……。

父が急死したことにより、その遺言でなんと莫大な遺産と大会社を佐野が存続することになったのだ。

バイトで磨いていた高級車を、今度は自分が乗り回す立場に。

心優しい女性、友里恵との縁談話も持ち上がり、たちまち意気投合。

デートの約束までこぎ付けた。

友達、お金、彼女……自分の望む『しあわせ』は、ライダーバトルで勝ち残らずとも全て手に入ってしまった。

男にベルトを返そうとする佐野。しかし、男は言う。

『ライダーを途中でやめれば、今度はモンスターに狙われる』と。

今度は自分がようやく手に入れた幸せを守るため、佐野は戦いにその身を投じることとなった。

だが人の信頼というものは、一度失ってしまえばそう簡単に取り戻せるわけではない。

たくさんのお金を持ってライダーたちを買収しようとするが、誰一人として取り合ってくれない。

唯一佐野が頼れる人物といえば一人、そう、友達でありライダーである東條悟だ。

友里恵とのデートの最中にモンスターに襲われた佐野は、自分のタイムリミットが刻々と迫っていることを察知。

ライダーバトルを早急に終わらせるべく、友達である東條と組んで共に主人公を強襲。

戦いは2対1、勝利は誰の目から見ても明らかだ。

しかし彼は、ここで自分の今までしてきたことの強烈なしっぺ返しをくらうことになった……。

『ガラスの幸福』……皮肉なタイトルにふさわしい末路

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突如背中に走る強烈な痛み、攻撃してきたのはもちろん主人公ではない。

自分の背中を任せていた、東條悟だ……。

倒れているところを助け、必死に介抱し、本当の友達と思っていた東條に「裏切られた」のだ。

突然の裏切りに恐怖し、命からがら逃げ出した彼は、重症を負いながらも必死に生きようとする……しあわせを守るために。

だが、運命はさらに残酷だった。

孤独と身体の痛みに打ちひしがれる佐野の目の前に、誰かが歩いてくる。

脱獄囚のライダーである、浅倉だ。

動けない佐野を見て、あざ笑いを浮かべている。

身の危険を感じ、一目散に逃げようとする佐野。

そんな彼に浅倉はためらいも無く、とどめと言わんばかりにライダーキックを放った……。

――ベルトのカードデッキが、音を立てて割れた。

鏡の中で戦うライダーは、カードデッキが無いと二度と元の世界には返れないのだ。

心身ともに満身創痍でボロボロとなった佐野の心を反映したかのように、突然振り出す大雨。

佐野は、鏡の向こうで雨に打たれながらも健気に自分の帰りを待つ友里恵に訴える。

「友里恵さん!友里恵さん!出してくれ…出してくれぇ!」

 

「出してくれ…出してくれぇ!友里恵さん!友里恵さん!出してくれぇ!」

佐野の声は、もちろん友里恵には届かない。

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「友里恵さん!友里恵さん!友里恵さん!友里恵さん!出してくれっ!出してくれよっ!俺は帰らなくちゃいけないんだ、俺の世界に!」

大雨の中、涙を流しながら必死に声を張り上げる。

誰にも届かない、誰もいない世界で。

「いやだ……いやだぁ!出してくれ……出してぇ!」

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友里恵の立つ場所に自分を重ね、佐野は力なく泣き崩れる。

 

「……なんでこうなるんだよ……俺は……俺は……『しあわせ』になりたかっただけなのに……」

この世から、一人の青年が消えた。

考察・彼の末路は果たして『自業自得』なのか?

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散々人を欺いてきた彼は、最後には人に欺かれてしまった。

確かに自業自得・因果横暴といえばそれまでかもしれないが、彼の性格や目的、行いを振り返ってみると一概にそうと言い切れない同情すべき点も多々ある。

最後にそれを振り返ってみよう。

・命を削りあう行為を楽に幸福を得られる方法だと軽視したことや、ろくに努力もせずに結果を得ようとしたのは確かに間違いだった。

しかし自分が本当に絶望のどん底にいるとき、もはやそれを脱するための努力すらも諦めたとき、ほんの少しの希望を目前に晒されれば人はどうするだろうか?

恐らく迷わず飛びついてしまうはずだ。

言わずもがな、それを人の力に頼ってしまったことが彼の間違いだったのが。

・強い人に媚を売り、自分ひとりの力で何も解決しようとしなかったのは確かに間違いだった。

しかし、そんなことを一度もしたことが無く、孤立した中で己を貫き通せる強い人間がこの世にどれほどいるだろうか。

人とは常に誰かにすがっていたい生き物だ。

そういう観点で見れば、彼はただ弱い人間というだけだったのかもしれない。

・自分の幸せを守るため、他人を犠牲にしたのは確かに間違いだった。

しかし、やっと手に入れた地位や名誉を意地でも手放したくないのは人として当然である。

ただ、彼が間違っていたのはそのために平気で他人を犠牲にしようとしたことだ。

・佐野満は悪人か?

一概にそうとも言い切れないだろう。

実際劇中では友里恵は佐野に好意を抱いており、また、下心があったとはいえ倒れている東條を見捨てておけずに助けている。そして介抱までしていることから彼が根っから悪い人間ではないことが伺える。

お金に困っているにも関わらず、人から金を盗んだり脅し取ったりもしていないことから少なくとも悪人ではないだろう。

己の欲望のために『しあわせ』を得ようとした彼のこの結末を『自業自得』と取るか、はたまた『可哀想』だと取るのか、それは個人にお任せします。

ただ、この世には『正義』の皮を被った加害者がいること、『悪人』の皮を被った被害者がいることを頭に留めておいてください。

善悪の決め付けは、考えることの放棄と同類だということです。

兎にも角にもインペラーの最後は、色々なことを考えさせられる秀逸な回でした。

ほんと、平成第一期の仮面ライダーって凄いですよね……。

以上、六代でした。

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