夏がやってくると、いつも思い出します。
小さい頃、あるゲームでトラウマになって以来ひとりでトイレに行けなくなったあの日。
ゲーム機のコントローラーを掴むと手が震え、映像が鮮明に再生された地獄の1ヶ月。
ホラーゲームって今では大好きなんですけど、僕の場合は入門ゲームのハードルがあまりに高過ぎたために、有名な『零』とか『青鬼』をやっても何も応えない体質になってしまいました。
だって……ねぇ。
あれ以上に子供にトラウマを故意に植え付けるつもりだった表紙詐欺ゲームがあったでしょうか。
いや、僕が今まで生きている限り無い。
この記事を書いている今は、ちょうど夏真っ盛り。
家にはしばらく僕一人……。
なんだろう、このまるで用意されていたかのようなおあつらえ向きな環境は。
……なるほど、そういうことか。
過去の自分に決着をつけるべく、僕は再びタンスの奥からそのゲームを見つけ出し、プレイすることにしました。
結果。
……うん、やっぱり怖い、やるんじゃなかった。
なんかもう、精神的にも視覚的にも相当くる!
ゲームをプレイしているとき、無意識に周りを気にしてしまうのは恐怖を感じている証拠なのだろう。
やっぱり勝てない、このゲームには。
……ちょっとやそっとではビビらないそこのあなた、このホラーゲーム、どうですか?
ゲームの紹介は最後にしますので、まずはゲーム内容のレビューをどうぞ。
シナリオは3つ、『学校』と『???』と『肉人形』
真ん中はネタバレを避けるため、ここではレビューしません。
……どれも明らかにやばそうなタイトルばかりです。
プレイしてみた難易度としては
『学校』と『???』が難易度★★★★☆
『肉人形』が難易度★★★★★
といったところです。
謎解き・逃走・恐怖とゲームシステムとしましては『青鬼』のリアル版だと思っていただければ分かりやすいかも。
特に『肉人形』は恐怖・驚き・謎解きの難易度、どれを取っても最難関レベル。
世界観の優しさにおいてはまだ『???』が一番でしょう。
『学校』は……うん、『肉人形』に負けず劣らずすごく怖い。
シナリオ選択するとすぐに始まります、深呼吸できるのはここが最初で最後です。
『学校の恐怖ポイント』 ……なんだ、あれは?
プレイヤーは友達と居残りになってしまい、夜遅くまで学校に残されるという設定。
しかし、トイレに行った友達と先生が下校時刻をとっくに過ぎているのに戻らない……。
真夜中の学校で、主人公の捜索が始まります。
教室を出るといきなり先生発見、声をかけようとすると…………あれ?なんだか様子がおかしいような……?
うん、顔からしてやばそうな雰囲気なのでとりあえず逃走!
ここから先生との学校内鬼ごっこが始まります。
これがなかなか難しくて。
先生はお化けになっているせいか、こちらの位置を把握しているようにしつこく追いかけてきます。
上手に教室のロッカーや教台の下などに隠れてやり過ごさねばなりません。
隠れている所を先生に見られたり、それでもばれてしまったら……はい、ゲームオーバーです。
この先生をなんとか撒いて校庭に出たら一安心……いえ、このゲームはそうではありません。
画像が無いのでお見せできないのが残念ですが、有名な妖怪『おぼろ車』が襲い掛かってきます。
先生の追っ手を振り払って逃げたところで今度はおぼろ車かよ!
おぼろ車は江戸時代の妖怪。奴を倒すために学校の書物をあさり、古い文献などを調べねばなりません。
この辺のプレイヤーの行動によって結末が変わるというマルチエンディング仕様。
ハッピーエンドに辿り着くまでに敵に捕まらないようにご注意を。
『肉人形の恐怖ポイント』 人形が!人形の首が!
主人公は何も覚えていない記憶喪失という設定。
しかし不気味な屋敷の中を調べていくごとに、主人公の身に起こった真実と、この屋敷にまつわる恐怖が明かされていきます。
まず、恐怖はもちろんのことクリアに辿り着くまでが至難の業です。
謎解き要素が多く、ちゃんと考えて行動しないとすぐにバッドエンドになります。
ホテルのような屋敷の中をひたすら捜索するのですが、一部屋にひとつ必ず市松人形が置いてあるという悪趣味仕様。
しかもこの市松人形、階を上がっていくごとに心なしか大きくなっているような気が……いや、深くは考えないでおこう。
3階の部屋を調べていると突然の悲鳴!
何事かと駆けつけてみると――――明らかにやばそうな人が向かい側から近づいて来る!
「待って」って言われて待つ奴なんぞいねぇ!
すぐさま逃走。
しばらく経った後にふとその場所に戻ると、紫色の服を着た市松人形が床にポツリと……。
これまさか……さっきの女の人……!?
……やばい、やばいよこの屋敷。
やっとの思いで最後の部屋に辿り着いて安心したのもつかの間、部屋に置いてあった巨大な市松人形が話しかけてきた!
人形いわく、家族のみんなは全て人形にされてしまったとのこと。
どうやらまだ終わらないようだ……気味の悪いわらべ歌を解読し、秘密の部屋に辿り着かねばいけないらしい。
この屋敷の真実に辿り着いたとき……鳥肌が立つこと間違い無しです。
ダラダラしていると、主人公の体が徐々に人形に……Orz。
このゲームの正体とは?
はい、実はこの恐怖ゲーム、元ネタはなんとアニメなんですよね。
当時放送されていたそのアニメの全盛期に、空気のような存在として発売されたのがPS1のゲーム『ゲゲゲの鬼太郎』です。
いや、むしろ空気で良かったとも言えますが。
僕のようにアニメ合間のCM一回見ただけで親に買って欲しいと駄々をこねた子供たちがたくさんいたら、みんな当時の僕と同じようにトラウマを抱えてしまうこと必至ですから。
ピンチになったら鬼太郎が助けてくれると思っていた子供心を見事に打ち砕かれました。
鬼太郎ほとんど出てこない!
最後の最後で出てきてんじゃねぇ!
むしろ鬼太郎を助けてあげないと妖怪とかどうしようもない!
プレイヤー人間だし!
……ああ、このゲーム、タイトルさえ変えれば絶対名作になったのになぁ。
いかがでしたでしょうか?
今回のレビューと画像を見て、それでも興味を持ったという屈強な方はトラウマ覚悟でぜひプレイしてみてください。
ゲームとしての完成度は素晴らしいの一言です、ゲームオーバー多いけど。
以上、六代でした。